ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)とは、実車の挙動や交通状況を仮想環境で再現し、運転動作を模擬できるソフトウェア、またはそれを搭載したハードウェア(コックピット、VR、表示装置など)を含むシステム全体を指します。ドライビングシミュレーターは自動車開発用のものや一般用のレース体験を行えるものまでさまざまで、メーカーごとに特徴を持っています。
自動車開発の現場では「ドライブシミュレーター」「自動車シミュレーター」「3D運転シミュレーター」「カーシミュレーター」などと呼ばれることもあります。
なお、日常的に「シュミレーター」と呼ばれることも多く見られますが、どちらも同じ「模擬運転装置」を指しています。自動車業界や研究分野では、英語の「Simulator」に由来する「ドライビングシミュレーター」が正式な名称です。当社(株式会社マックシステムズ)では、研究開発向けの本格的なドライビングシミュレーター環境をご提供しています。
用途は研究開発から評価・検証、教育・トレーニングまで幅広く用いられます。特にOEM(自動車メーカー)・サプライヤー双方で、試作や実車試験だけでは解決できない課題(時間・コスト・安全・再現性)を補う手段として導入が進んでいます。
自動車開発〜トレーニング・プロモーション用途のドライビングシミュレーターは主に、次の4領域で活用されます。
- 開発(設計・統合・HILS/VILS・受け入れ試験)
- 研究(先行技術・ヒューマンファクター)
- 評価・調査(モニタリング調査・生体データ収集・被験者実験)
- トレーニング・体感(安全教育・技能訓練・自動車販売店(ディーラー)/イベントでのプロモーション)
- 基礎知識・用途を知りたい方(このまま下へ)
- SCANeR™studioの機能・特徴を知りたい方 ➔
- 評価テーマ(AD/ADAS・HMI・ヘッドライト等)別の用途を知りたい方 ➔
- 実際にドライビングシミュレーターの体験・見学をしたい方 ➔
開発での活用(OEM・部品サプライヤーの評価業務に活用)
ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)は、開発段階から受け入れ試験まで、V字モデル(開発と検証の流れをV字型に表した開発プロセス)の各工程で利用できます。実車や試作品を作成前に、仮想環境でテスト・検証することで、課題の早期発見と設計の手戻り低減につながります。
例えば、試作前に以下を繰り返し検証できます。
- 仕様の妥当性確認(要求と設計の整合)
- 制御ロジックの評価(走行状態を変えた比較)
- 個々に作った部品や機能を組み合わせて要求どおりに動くかを確認する「統合」前のリスク洗い出し(懸念の可視化)
- 同時並行評価(複数テーマの時間短縮)
その結果、試作コストや実車試験の回数・工数の削減、検証のリードタイム短縮が期待できます。
HILS/VILSベンチでの活用
HILS(Hardware-in-the-loop Simulation:実際のハードウェアとシミュレーターを接続して行う試験)やVILS(Vehicle-in-the-loop Simulation:車両全体を含めた試験)に関わる試験にもドライビングシミュレーターは有効です。リアルタイムで動作するシミュレーターと計測機器や試験機器を組み合わせることで、車両の操作性確認やセンサー挙動の評価を、複数シナリオで連続的に実施できます。評価場所の制約を減らしつつ、再現性高く検証を回せます。
多様な環境での検証
ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)では、周辺環境を仮想的に再現できるため、実車では実施が難しい条件も扱えます。
- 雪道・山道など季節や場所が限られる環境
- 速度域や危険度が高いシナリオ
- 飛び出し等のヒヤリハットを含む危険事象
- 遠隔地・長距離移動を伴う試験条件
- 雨・雪・逆光を伴う試験
安全性と利便性の向上
「人」の評価(官能評価、HMI評価、警報の受容性評価など)でも、危険を避けながら実施でき、被験者を集めやすい場所で短時間に回せます。加えて仮想環境のため、同一条件の再現とデータ化が容易です。そのため、比較評価や報告資料作成にも適しています。
自動車開発のスピード要求が高まる中、ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)は開発期間短縮・予算削減・安全の確保・再現性、それらを同時に解決する手段として、重要性が増しています。
研究での活用(先行技術・ヒューマンファクター)
次世代の自動車に向けた先行技術の検証や、運転時のヒューマンファクター(認知・行動特性)の研究にも活用できます。
ヒューマンファクター研究の例
たとえば脳活動計測装置などと組み合わせることで、運転時の精神的疲労や集中力の変化を計測し、安全性や快適性の向上につながる要因分析が可能です。
このような研究は、複数人を同一条件で何度も検証し、統計的に信頼できるデータを取る必要があります。ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)は条件の統制がしやすく、以下の分析に役立ちます。
- 運転者の行動特性(運転時の癖や判断傾向)
- 反応時間(刺激に対して操作を行うまでの時間)
- ストレスレベルや負荷(心理的・身体的な負担)
- 運転中の眠気・酩酊(覚醒度合い)
結果として、より安全で効率的な運転支援システムやHMI設計の根拠づくりに貢献します。
教育機関での活用
このような研究を教育機関で行う場合、ソフトウェアによっては販売価格に割引が適用される場合があります。学生・研究者が実践的に最新技術へ触れられる機会が増え、共同研究や人材育成の観点から自動車産業全体の技術革新に貢献するためです。
環境への配慮
実車を使わず仮想環境で検証を進めることで、CO2排出の抑制にもつながり、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献にもつながります。
評価・調査での活用(モニタリング調査・被験者実験)
ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)は、一般被験者を集めた走行データの分析や生体情報の収集といったモニタリング調査(ユーザーの操作や反応を観察する調査)にも活用されています。
- 生体データ・行動データの分析:アイトラッキング(視線追跡)や心拍・脳波計測と連携し、運転中のストレスや覚醒度を定量評価
- シミュレーター酔いを抑えた高品質なデータ取得:6軸モーションプラットフォーム等を活用し、被験者の負担を抑えた快適な検証環境を実現
- HMI・人間中心設計の受容性評価:新機能や警告表示に対するドライバーの反応・受容性を客観的に検証
【当社のサポート】
当社ではドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)の販売だけでなく、評価テーマに応じた実験計画の立案からモニター手配、データ計測までの受託調査・実験代行サービスや デモ・レンタルも承っております。
トレーニングでの活用(安全教育・技能訓練・デモ)
ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)をトレーニングに用いることで、実車では危険・高コスト・再現困難な状況を、安全に繰り返し体験でき、より質の高いトレーニングを実現できます。
機種によっては、地形や周辺環境を作り込み、建物、標識・信号機などの3Dオブジェクトや、車両・歩行者といった3Dデータを読み込んで、目的に合った訓練環境を構築することも可能です。
訓練・教育での用途
- 特定施設(空港、軍事区域など)の認証トレーニング
- 過酷条件下の交通安全トレーニング(急ブレーキ、横滑り等)
- 現実的なシナリオを用いたプロドライバー訓練
これにより、ドライバーは幅広い状況への対応力を身につけやすくなり、実運用での安全性と効率性向上が期待できます。
自動車販売店(ディーラー)・イベントでの用途(性能体感・プロモーション)
- 自動車販売店(ディーラー)での予防安全機能・ADAS体感
- 新しい運転技術の普及イベントでのシミュレーターデモ
- 交通安全啓発イベントでのヒヤリハット体験
ドライビングシミュレーター(運転シミュレーター)は、研究開発や訓練だけでなく、新技術の周知や販売現場での営業・販促ツールとしても活用されています。実車での試乗では再現・体験が難しい「予防安全機能(AD/ADAS)」を、安全かつリアルな環境で一般ユーザーや自動車購入検討中の方に体感していただけます。
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