
難研磨部品(水晶・コイル・抵抗)の断面研磨はなぜ難しいか|割れ・ダレ・刺さりの理由
水晶(クリスタル)・コイル・抵抗は、半導体と同じ条件では割れ・ダレ・刺さりが起きます。硬さ差や内部の空洞が招く不良の理由と、部品ごとに研磨条件を設計して段差を抑える弊社の対応を解説します。
最終更新: 2026年6月26日
難研磨部品とはなにか|周囲と硬さが揃わない部品
断面研磨では、試料をエポキシ樹脂に埋めてから削ります。このエポキシ樹脂と半導体(シリコン)はほぼ同じ硬さなので、一緒に同じ条件で削ってもきれいに揃います。 難しいのは、半導体基板の上に載っている部品の中に、この硬さから外れたものがあるときです。その代表が水晶(クリスタル)・コイル・抵抗で、弊社が特に手強いと感じるトップ3です。これらは周囲の樹脂や半導体と硬さが違うため、同じ条件で一緒に削ると削れ方が揃わず、割れたり、断面がダレたり、削りカスや研磨砥粒が刺さったりします。 難易度はおおむね クリスタル > コイル > 抵抗 の順で、クリスタルが特に手強い部品です。 このページでは、これらの部品でなぜ不良が起きるのかと、弊社が実際に行っている段差・ダレ・刺さりを抑えるための研磨の工夫を解説します。
なぜ割れ・ダレ・刺さりが起きるのか
難研磨部品の不良は、大きく3つのメカニズムで起こります。 ・割れ・チッピング:硬くて脆い素材は、研磨の力で欠けたり割れたりしやすい。 ・刺さり:研磨に使う砥粒が試料に刺さり込み、それが抜けると穴(ピット)として残ります。削り取られた破片が研磨面に回り込んで傷をつくることもあります。どの部品でも起こり得ますが、硬い部品ほど出やすくなります。 ・ダレ・傾き:硬い部分と軟らかい部分が混在すると、軟らかい側が先に削れてダレ、断面が傾きます。界面がぼやけ、観察・撮影が難しくなります。 どれも「観察したい断面がきれいに出ない」という結果につながり、評価そのものが成立しなくなります。
| 部品 | 主な難しさ | 出やすい不良 |
|---|---|---|
| クリスタル(水晶) | 硬く脆い・内部に空洞がある | 割れ・空洞からのゴミ・刺さり・ダレ |
| コイル/インダクタ | 脆いフェライトが崩れて脱落する | 脱落片の刺さり・スクラッチ・空隙 |
| 抵抗 | 脆い抵抗体と電極・保護膜の複合 | 脱落・エッジだれ |
クリスタル(水晶)— 内部の空洞とゴミに苦戦する
水晶振動子は、水晶片を中空のパッケージに気密封止した構造で、内部に空洞(キャビティ)があります。研磨でこの空洞に到達して開口すると、そこから破片やゴミが溢れ出し、研磨面に回り込んで「刺さり」(スクラッチ)を引き起こします。 この刺さりに対して弊社では、水晶片(ガラス)を削り切って内部の空洞が現れた段階で、その空洞を樹脂で埋め直し(再樹脂埋め)、固めてから先を削り出します。空洞を樹脂で塞いでおくことで、破片やゴミが溢れ出して研磨面に回り込むのを防ぎ、刺さりを抑えられます。 さらに水晶自体が硬くて脆いため割れやすく、硬さのせいでダレや傾きも出やすい。観察したい断面がフラットに出ていないと、撮影しても評価に使えません。 この「割れ・ゴミ・ダレ」が一度に襲ってくるのがクリスタルの難しさです。弊社でも、研磨技術を身につけるうえでの登竜門として扱うほどの部品です。
コイル・抵抗 — 崩れ・脱落による刺さりと段差
コイル(インダクタ)は、フェライトコアに銅線を巻いた構造です。フェライトは焼き固めた脆い素材で、研磨中に内部からぽろぽろと崩れて抜け落ちます。この崩れた破片が研磨面に回り込み、試料に刺さって(スクラッチ)傷や穴をつくります。コイルの難しさは、硬さ差そのものよりも、この「崩れた中身が刺さりの原因になる」点にあります。 抵抗は、脆い抵抗体と電極・保護膜が複合した構造です。研磨中に抵抗体が脱落したり、エッジがだれたりして、層構造がきれいに観察できなくなります。硬さの違う部分が混在するため、硬い側に合わせると軟らかい側がダレ、軟らかい側に合わせると硬い側が残る——この硬さ差をどう吸収するかが鍵になります。 どちらも、崩れや削れ方の違いをいかに抑えて、層構造をフラットに出すかが仕上がりを分けます。
段差・ダレ・刺さりを抑えるには部品ごとの条件設計が要る
難研磨部品の段差・ダレ・刺さりは、研磨紙の番手・荷重・砥粒や補助材の使い方を、部品の硬さや構造に合わせて細かく設計することではじめて抑えられます。汎用の条件のまま削ると、硬い部分ばかりが先に削れて段差が出たり、砥粒や破片が刺さって、観察に使える断面になりません。 弊社では、水晶・コイル・抵抗のように硬さの揃わない部品ごとに、研磨工程の条件と、削りすぎる前に止めるための確認の頻度を作り込んでいます。これにより、割れやすい・崩れやすい部品でも、ダレを抑えたフラットな断面に仕上げます。 最適な工程は部品の種類・状態によって変わります。「この部品は断面が出せるか」「どの面を観察したいか」という段階からご相談ください。試料の状況に合わせて研磨方法を設計し、観察に使える断面に仕上げます。
難易度に応じて担当を分け、品質を担保する
弊社では、ISO/IEC 17025認定の品質体制のもと、研磨技術を4段階のスキルレベルで管理しています。部品の難易度に応じて担当者を選定し、高難易度の部品は熟練者が対応する体制を構築しています。部品ごとに「どの難易度の試料を、どのスキルレベルの担当者が対応するか」を明確に定めることで、割れやすい部品やダレやすい部品でも、安定した品質の断面をご提供しています。 また、難研磨部品に関する研磨技術やノウハウを見える化し、教育プログラムへ反映することで、技術の継承と品質の維持・向上にも取り組んでいます。
ISO/IEC 17025認定の品質保証体制を見る難研磨部品の断面研磨もご相談ください
半導体基板に載る部品の中でも、水晶・コイル・抵抗のように周囲と硬さが揃わず「同じ条件では割れる・ダレる」部品の断面研磨に対応しています。特殊な硬さ・構造の素材についてもご相談いただけます。部品ごとに研磨条件を設計し、観察に使える断面を出します。 「この部品は研磨できるのか」「どこを観察すべきか」といった段階からでも構いません。試料の状況・観察したい箇所をお知らせください。 初回は1断面を無料で確認いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
