SiCデバイスの断面研磨|機械研磨で失敗する理由とCP(イオンミリング)での対策
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SiCデバイスの断面研磨|機械研磨で失敗する理由とCP(イオンミリング)での対策

SiCはダイヤモンド相当の硬さを持ち、通常の機械研磨では正確な断面が出せない。ゲート酸化膜の膜厚確認やトレンチ形状の観察に必要なCP(イオンビーム)加工の特徴と、確認できる内容を整理します。

SiCパワー半導体CP断面解析

最終更新: 2026年6月1日

SiCとは何か

SiC(炭化ケイ素)は、ケイ素(Si)と炭素(C)を1対1で結合した化合物半導体です。「ワイドバンドギャップ半導体」と呼ばれる材料のひとつで、従来のシリコン(Si)に比べてバンドギャップが約3倍あります。 この特性から、高電圧・高温・高周波の環境でも安定して動作できます。電力を変換する際のエネルギー損失が小さく、同じ耐圧を実現するために必要な素子の厚みも薄くできます。 EV(電気自動車)のインバーターや急速充電器、太陽光発電のパワーコンディショナーなど、高効率な電力変換が求められる機器への採用が急速に広がっています。 同じワイドバンドギャップ半導体として注目されているGaN(窒化ガリウム)も、バンドギャップはSiCとほぼ同等です。ただし得意とする電圧帯や用途が異なり、SiCは車載・鉄道・産業機器などの高耐圧領域、GaNは急速充電器やデータセンター電源など比較的低電圧での高周波スイッチングを得意とします。二つは競合というより用途による住み分けの関係にあります。

Si・SiC・GaN — パワー半導体材料の違い

現在パワー半導体の主要材料として使われているのはSi・SiC・GaNの3種類です。SiCとGaNはどちらもワイドバンドギャップ半導体ですが、得意な電圧帯と用途が異なり、競合というより住み分けの関係にあります。

項目SiSiCGaN
バンドギャップ1.1 eV3.3 eV3.4 eV
絶縁破壊電界基準約10倍(Si比)約10倍(Si比)
熱伝導率基準約3倍(Si比)Siと同程度
主な耐圧帯〜600V600〜3300V〜600V
耐熱温度(目安)〜150℃200℃以上150〜200℃
スイッチング速度普通速い非常に速い
ウエハコスト低い高い中程度
主な用途汎用・民生機器車載インバーター・鉄道・産業機器急速充電器・データセンター電源

SiCの断面はなぜ難しいか

SiCはビッカース硬さが2000以上と、ダイヤモンド相当の硬さを持っています。機械研磨で断面を出そうとすると、砥石が逃げてエッジが少しずつ丸まったり角がかけてしまったりします。そのため、正確に断面を出す事自体が非常に難しい素材になっています。 電気特性がSiに比べ非常に優秀なSiCですが、外観検査や電気測定では見えづらい為、断面を出して初めて確認を行うことができます。

手研磨で断面出ししたSiCチップのSEM画像。エッジの欠けと研磨傷が見られる(×2,000)

CPで何が変わるか

CP(イオンミリング加工)はアルゴンを使ったイオンビームで試料を削るため、材料の硬さに依存しません。SiCでも平滑な断面を出すことができます。 ただし、使用には非常に厳しい条件出しをする必要があり、経験が物を言う世界になってきます。試料が少しでも斜めになってしまっているとイオンビームが上手く当たらなかったり、どの程度イオンビームで削るかなどのシビアに試料の状態を見ながら調整を重ねる必要があります。「CPを持っている」と「CPで良い断面を出せる」の間には、かなり違いがあります。 実際に手研磨とCP加工で断面を作製し、同じ倍率(×2,000)でSEM観察したものが下の比較画像です。左の手研磨ではエッジの欠けと研磨傷が見られますが、右のCP加工ではエッジが鋭利かつ平滑で、傷が見られません。

手研磨で断面出ししたSiCチップのエッジ部SEM画像。研磨傷とエッジの欠けが見られる(×2,000)
手研磨:エッジに欠け・研磨傷が残る(SiC ×2,000)
CP(イオンミリング)で断面出ししたSiCチップのエッジ部SEM画像。エッジが鋭利で平滑、傷がない(×2,000)
CP加工:エッジが鋭利・平滑で傷がない(SiC ×2,000)

断面で確認できること

CPで断面を出した後、SEM(走査電子顕微鏡)で観察・データ提供を行います。依頼内容によって確認項目は異なりますが、代表的なものとして以下の2点があります。 ■ 合金層の確認 SiCチップとはんだ・焼結銀などの接合材の界面には、熱処理や熱サイクルによって合金層(金属間化合物層)が形成されます。この層の厚みや状態は、接合信頼性に直接影響します。断面研磨とSEM観察によって、合金層がどの程度形成されているかを確認することができます。 ■ 接合状態の確認 パッケージ化されたSiCデバイスでは、チップとモールド樹脂の界面が剥離していないかの確認を求められるケースが増えています。熱サイクルや実装時の熱ストレスによって界面に隙間が生じると、放熱性の低下や長期信頼性への影響が懸念されます。断面を切り出してSEMで観察することで、剥離の有無・位置・範囲を実際の形状として把握できます。

SiC断面解析の依頼を検討している方へ

SiCデバイスの断面解析に対応できる会社はまだ少ないです。まずはお気軽にご相談ください。試料の状況に合わせてご提案します。

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